ちなみに精神科医にもなりたかった
僕、高校時代はバリバリの文系少年だったので、文学が大好きです。そんなわけで、一時期は精神科医になろうかなと思っていた時期もありました。でも、病理の奥深さを知っていくうちに段々と精神科医という道とは縁遠くなっていきました。病理医が関わらない科ってほとんどない(救急科からだって解剖依頼があります)ですが、唯一精神科とはほとんど関わりがありません。なにせ器質的に何も異常がないことが精神疾患の精神疾患たる所以なので、肉眼的アプローチを主とする病理の出番はありませんから。メスの分け入る隙のないのが精神領域なんですよね。
でも、僕は精神領域の話も大好きです。普通の病理学とは全く似て非なるものですが、精神病理学という学問があって、その関係の本を読み漁るのが趣味です。結局ここでも病理学なんですね。
そしたらある日、そうだ心療内科もやってみよう、専門的な配慮が必要ならば紹介するとして、ある程度の心の悩みに対応することは、かかりつけ医に必要な機能のはずだという思いに至りました。というわけで、当院は心療内科というのを標榜科として掲げています。内科だけだと心の悩みにも対応しているというニュアンスがなかなか出ないので、あえて掲げると患者様が訪ねて来やすいですね。
かかりつけ医というのは本当になんでもありなんです。それは患者様にとっても自分自身にとっても。地域の皆様のための医療を提供しながら、しっかりと自己実現できるという稀有な職業だなあ、と思っています。